歯周病の末期になると全身を蝕むことも?!

歯周病の末期

歯周病は予防が大切なことはわかるけど、実際に歯周病の末期になるとどういう風になるのか、実際の患者さんの話も交えて説明させていただきます。

歯周病の末期とは、歯周病ポケットが深くなり、周りの組織である骨が完全に破壊されている状態です。歯はグラグラで、物を噛むたびに痛みます。また物がつまりやすく、ものがつまると、歯が押されて動き、詰まるたびに痛みが伴います。歯茎から血が出たり、膿もでます。虫歯のようなズキズキした痛みはありませんが、腫れぼったい鈍い痛みがずっと続きます。

その状態をなぜ、放置してはいけないのかというと、歯がグラグラ動くということはそこに隙間ができます。そこに食べかすなどの汚れが溜まり、細菌が大量に繁殖します。すると、季節の変わり目や体力が落ちたときに、いっきに腫れ上がります。

また、歯を抜かずにそのまま放置すると、そのまま菌が骨へ感染します。骨へ菌が感染すると、もちろん、骨は腐ってしまうのです。そうすると、腐ってしまった骨は、キレイに削り取らないといけなくなります。つまり、顔の一部である顎の骨がなくなり、顔の形が変形してしまいます。

さらに、症状が進むとどうなるのでしょうか?

顔と気道と呼ばれる空気を吸うために必要な通り道は近い場所にあります。歯周病が進行し、骨を腐らせると、次はそこに溜まった膿が気道へ流れ込みます。すると、気道が塞がれて呼吸困難になります。また、身体には何箇所か空洞の場所がありますが、胸にある胸腔という場所に膿が流れてしまうケースもあります。そうなると、全身感染症といって、入院治療が必要となり、重症例ではなくなってしまうケースもあります。

たいていは、そうなる前に歯が抜けてしまいますが、糖尿病患者さんやお年寄りでは免疫力が低下しているため、そういった重症ケースに陥ることはあります。

「歯周病の末期=歯が抜ける」で間違いではありませんが、歯周病は細菌感染症である以上、治療しなければ、体のいたるところで繁殖し、体をむしばみます。

おそらく、こういったことを知らなかった人は多いと思います。

でも、珍しいのでは?と思うかもしれませんが、毎年、そういった患者さんが大学病院などの大きい病院に入院しています。

ですので、仕事が忙しくてついつい放置してしまうような人は注意してください。特に糖尿病の人は感染しやすいので要注意です。

実際に私が大学病院で経験したことのある患者さんをご紹介します。

その患者さんは、顔が腫れ上がり、口が全く開きませんでした。ご飯はもちろん、口から食べることはできません。まずは点滴治療を行い、繁殖した菌を殺し、症状が落ち着いてから、菌の温床である歯を抜きました。

しかし、歯周病が拡大しすぎており、またかなり腫れ上がっているので、もともとどの歯が原因であったのかは診断がつきませんでした。

菌の住処がなくなれば、あっという間に回復しますので、その患者さんは一週間の入院ですみました。

しかし、歯周病の末期になる前に治療をしていれば、入院治療も必要なく、家族にも職場にも迷惑をかけることはなかったと思います。

歯周病の末期になり、菌が全身に感染しないようにするためにも、日頃からの歯磨きはもちろん、少しでも歯に違和感を感じたら、すぐに歯医者さんに行きましょう。

歯周病を放っておくと、大変なことになりますよ。

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