昔は、歯医者さんはすぐに歯を抜く!!というイメージがあったと思います。
たくさん歯を抜かれて、歯医者さんが怖いという人も特に高齢者には多いです。
ですが、最近の歯科医院では、歯周病治療が発展して、歯をなるべく残すという歯科医師の方がほとんどとなっています。
このように、歯を残すという風潮が今では主流となっています。
そして、患者さんの間でも、なるべく自分の歯を残したいという方が増えています。
ですが、その一方で、入れ歯で全然ご飯が食べられない、という人も増えているのも事実です。
その理由は『歯周病』にあります。その理由についてご紹介します。
入れ歯で噛めない人が増えている理由とは??
昔は多くの人が虫歯で、歯を抜いていました。
歯周病という病気自体、なる人はほとんどいませんでした。
ですが、歯科医療が発展し、虫歯でも歯を抜かずに治療ができるようになりました。
そのため、歯の寿命は伸びました。
しかし、歯の寿命が伸びることで、虫歯ではなく、今度は歯の周りに歯周病菌が住み着き、歯周病で歯を失う人が増えてきました。
虫歯は歯だけですが、歯周病は、歯の周りの骨を破壊してしまう病気です。
歯周病を放置するとどんどん骨が破壊されて、歯茎が痩せていきます。
虫歯で歯を残せるようになり、その結果、患者さん自体も、入れ歯ではなく、なるべく自分の歯で、ご飯が食べたいという人が増えました。
しかし、歯周病で歯がグラグラでも残した方がいい、という勘違いもまた生まれてしまいました。
そのため、歯を支える骨がもうないのに、歯を残し、そして最終的にグラグラで自然と抜けてしまったり、痛みが悪化して、仕方なく抜くという人が増えています。
虫歯で歯を抜くのと、歯周病で歯を抜くのは、顎の骨の状態は全く異なります。
虫歯は、骨にまで感染していなければ、顎の骨に炎症を引き起こすことを予防できます。
一方、歯周病は、歯ではなく、骨を溶かしているので、進行すればするほど、骨が破壊され、吸収されます。
そのため、歯周病で歯が抜けてしまうと、骨がないので、その後、入れ歯の治療をしても、安定が悪くなります。
入れ歯は、粘膜の下の、顎の骨を支えにして安定します。
ですが、歯周病で骨が吸収されてしまった状態では、支えとなる骨がないので、入れ歯の安定が非常に悪くなります。
今や歯周病は国民病であり、40歳以上の8割が歯周病です。
そして、歯周病で歯を失っています。
そのため、歯周病で歯を失う人が増えているので、そのあとの治療である入れ歯に悪影響がでます。
最近、入れ歯で噛めない人が増えている理由はこのためです。
今後も歯周病で歯を失う人が増え、保険では入れ歯しか選択肢がなくなった場合、入れ歯で一生噛めないまま過ごすという人も珍しくなくなります。
ですから、定期的なメインテナンスで歯周病を予防することはもちろん、歯科医師が歯周病で歯を抜いたほうがいいと診断したら、すぐに歯を抜いて、それ以上悪化させないようにしましょう。
そうすることで、歯を抜いた後の入れ歯でも、ある程度、ご飯を食べることができます。
ぜひ、日頃から歯周病予防をこころがけ、いつまでも自分の歯でしっかりと食べられるようにこころがけましょう。