親知らずの抜歯|「歯医者さん泣かせの治療の1つ」というくらい、難しい

親知らずの抜歯

親知らずを抜く必要があるのはなんとなくわかるけど、その治療について、実は簡単に考えている方がたくさんいます。

今回は、「親知らずの抜歯が実はとても難しい」ということについて説明します。

親知らずは上と下、また生え方によってその治療の難易度は異なります。

上の歯は視界が悪く見えづらいですが、下の顎の骨と比べて薄いので、力をかけると骨から外れてくれるので、下の歯よりも比較的難易度は低めです。しかし、骨の中に埋まっていたり、根っ子が3本あったり、曲がっていたりすると、歯を抜くのは非常に困難になります。

では、下の親知らずはどうでしょうか。現代人は顎が小さくなっていて、親知らずが生えるスペースがありません。多くの方は、親知らずが横向きに生えてきます。親知らずが横向きに生えているということは、手前の歯があるので、単純に引っこ抜くという抜歯ができません。

横向きに生えた親知らずはどういう風に抜くのでしょうか。

その手順はこうなります。

  1. 歯茎を切る(大抵は歯茎がかぶさっているため)。
  2. 歯は骨に埋まっているので骨を削る。
  3. 歯の頭の部分と根っ子の部分の2つにわける。
  4. 歯の頭をとりだす。
  5. 歯の根っ子の部分をとりだす。

横向きに生えているので、歯を2つに割って取り出します。また、根っ子は骨の中に埋まっているので、取り出すのが難しいです。いかに骨を上手く最小限に削って、埋まっている根っこに力をかけて抜くかがポイントとなります。

他にも、若い方のほうが骨がやわらかく、しなるので、歯が抜けやすいのですが、歳を重ねるごとに骨は固くなるので、抜きづらくなります。

そして、下の親知らずには、もう一つ、重要なポイントがあります。

実は、親知らずの根っこの下には『下歯槽神経』という神経が入った管が走っています。根っ子を抜こうとして、無理に力をかけてしまうと、この管を傷つけ、神経に傷が入ることがあります。

傷がついてしまうと、この下歯槽神経は感覚の神経ですので、唇を触った時に、触った感覚が鈍くなったりします。完全に神経が切断されると、唇の感覚がなくなります。

もちろん、全ての歯の根っこがこの神経に接しているわけではありません。離れていることがほとんどですし、抜くときに傷つけることはほとんどありません。しかし、そういった危険性をもつ歯が親知らずです。

親知らずは抜くときに骨を削ります。てすので、次の日は腫れてしまいます。これは生体の反応ですので、個人差もありますし、実は歯医者さんの上手い下手はほとんど関係ありません。

親知らずが抜くのが怖くなったかたもいるかもしれません。でも、歯医者さんも抜きたくて抜いているわけではありません。

親知らずが炎症をおこして、害があるから抜きます。そのまま、親知らずをおいておくののとどっちが最善かを考えて、天秤にかけ、抜いたほうがいいと判断されたときに抜きます。

ですので、親知らずを抜歯するかしっかりと歯医者さんと相談しましょう。

また、今では安全に下の親知らずを抜くために、コロネクトミーといって、親知らずの頭だけをとって、根っこが生えてきてから抜く方法があります。これは別名、2回法といって、いっぺんに抜くよりも安全です。こういった方法で抜くことも治療の選択肢のひとつです。

今、親知らずで悩んでいる方は痛くなる前に一度、歯医者と相談してみましょう。

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