歯医者さんに来院される患者さんのほとんどが『歯ぎしりはしていない』と仰っています。ところが、来院されるほとんどの方が歯ぎしりをしています。私自身も歯ぎしりをしているうちの一人です。
一番伝えたいことは、『歯ぎしりをしていない人はまずいない』ということです。それを念頭において、歯ぎしりについて知っていただければと思います。
歯ぎしりには3つの種類があります
みなさんが歯ぎしりとしてイメージするのは『グラインディング』です。いわゆる歯ぎしりギリギリといわれているもので、上と下の歯を左右にこすりあわせて、ギリギリするものです。
ふたつ目は『クレンチング』です。これは、食いしばりと呼ばれるもので、重量挙げの選手が持ち上げるときに歯をくいしばって重りをあげています。これを気づかないうちにやっている方が大変多いです。
3つめは『タッピング』です。これは上と下の歯をカチカチとする動きのことです。イメージとしては、貧乏ゆすりのような感じです。
歯ぎしりって、「ギリギリするもの」(グラインディング)だけじゃないの?と思った人がいると思います。実際に患者さんもこれ以外の歯ぎしりを知らない方が大半ですので、歯ぎしりをしている患者さんにはいつも「クレンチング」や「タッピング」も説明しています。
この中でのグラインディング(ギリギリするもの)とクレンチング(食いしばり)は歯へのダメージが大きく、特に、クレンチングは気づけない人が多い分、体へのダメージが大きいです。
歯ぎしりのチェック方法
歯医者さんはレントゲン写真や歯をみて総合的に判断していますが、歯ぎしりを判断するのに簡単なチェックがあります。
お口を大きく開けて、ほっぺの粘膜をみてみてください。下の歯の上に沿って白い線や粘膜の盛り上がりがありませんか?また、舌を見てみてください。ギザギザした跡がついてませんか?
こういった跡がついていたら、歯ぎしりをしています。これはずっとくいしばっているせいで、舌や粘膜に跡がついていたら、もとに戻らなくなってしまった状態です。
歯医者さんが行う歯ぎしりの治療
一つは噛みあわせの調整です。噛みあわせのバランスが悪いと、歯が自然とその部分を気にして、歯を食いしばったりギリギリしてしまいます。ですので、歯の噛みあわせを調整をしてバランスを整えます。
しかし、クレンチング(食いしばり)の症状が強いと、歯がかなりすり減っています。とくに若いときにラグビーなどのスポーツをしていたり、力仕事をしている人は、普段から歯をくいしばっての仕事をしているので、歯のすり減りが普通の人と比べて早いです。
そういった方は噛みあわせを調整しようにも、削る歯がありません。そういう方にはナイトガードといった、マウスピースによる治療をします。
これは、寝ている間の歯ぎしりの力を歯ではなく、マウスピースにかけます。そうすると、歯へかかる負担が減るので、歯がすり減るのを防げます。
また、ご自身で行うケアとして、認知療法というものがあります。歯ぎしりは無意識下でやっていることが多いです。寝ているとき以外にも、仕事に集中していると、ふと気づくとやっています。そこで、まずは歯ぎしりをしていると「自分で気づく、認知」をします。
すると仕事中でも、気づくことができます。歯ぎしりが激しい人はこの認知療法をするだけでも、歯への負担が違います。ぜひ、セルフチェックをしてみて、歯ぎしりをしていそうなら歯医者さんに相談してみましょう。
また、歯医者さんで歯ぎしりを指摘された方はそんなことない!と言わずに、歯ぎしりに気づけたと受け入れましょう。そうすればで、より歯が長持ちしますよ。