歯を残すのは本当にいいこと?抜いたほうがいいと診断された歯を残した結果…

私は歯科医師として、虫歯や歯周病の治療をしています。

歯をなるべく残して自分の歯で噛めるように患者さんとともに努力していますが、どうしても、これは残せない、診断する歯もあります。

ですが、自分の歯を抜くのがどうしても嫌で、患者さんが拒否してしまうと、その歯を抜くことはできません。

中には、治療をやめてしまう方もいます。

そういった、抜いたほうがいいと診断された歯を残した患者さんは、いったいどうなってしまうのでしょうか。

そんな抜いたほうがいいと診断された歯を残した方がどうなるかをご紹介します。

抜いたほうがいいと診断された歯を残した結果、歯茎はどんどん痩せていく!!!

抜いたほうがいいと診断された歯を残した場合、どういったことが起こるでしょうか。

歯は虫歯が根っこまで進行していたり、歯周病で歯の周りの骨が破壊されてグラグラになっていると、抜かないといけません。

根っこまで虫歯が進行してしまうと、虫歯を削ってつめても、歯茎や骨があり、つめたものは、体の組織とくっつくことはなく、異物として反応を起こし、歯周病を引き起こしたりします。

さらに虫歯を放置すると、どんどん進行して、骨にまで感染して、骨髄炎という骨の炎症を引き起こしたりします。

また歯周病で歯の周りがグラグラになると、そのまま歯を残していると、さらに歯周病菌が増殖して、どんどん周囲の骨を溶かしていきます。

骨の量はさらに減少していきます。

そうなってしまうと、歯茎はどんどん下がってしまいます。

つまり、抜いたほうがいいと診断された歯を残した結果、顎の骨はどんどん痩せていき、骨に炎症を引き起こしていきます。

しばらくは、慢性炎症といって、炎症がある程度落ち着いた状態になりますが、風邪をひいたり、体調が悪くなってしまうと、急に炎症が悪化し、残した歯が急激に痛むことがあります。

たいていの患者さんは、抜くのが嫌で、歯科医院に来なくなりますが、痛みが悪化して、どうしようもなくなってまた来院されます。

そして、抗生物質や痛み止めを処方しても、一時的に、よくはなります。

しかし、炎症の原因である、歯を抜かないことには再び歯は痛くなります。

辛い痛みを経験して、このように説明することで、ようやく患者さんは、抜く決心をされます。

ですが、抜いたほうがいいと診断された時点よりも時間が経過しているので、さらに骨の炎症は広がっており、歯ぐき下がりはひどい状態になっています。

つまり、骨が著しく吸収されてしまいます。

この顎の骨が吸収され、歯茎がやせてしまうと、自費の治療であるインプラント治療は当然できない、もしくは骨を作る手術が必要となり、一般的なインプラント治療よりもさらに高額な治療費用がかかります。

さらに入れ歯でも、入れ歯は、粘膜の下にある骨を支えにして安定しているので、やせた歯茎ではとても安定の悪い入れ歯しかできなくなります。

つまり、自分の歯を残しつづけて、歯医者さんに抜いたほうがいいと診断された歯を残した結果、インプラント治療はできなくなり、入れ歯治療をそのあと受けても、骨という土台がないので、安定の非常に悪い入れ歯しか作れなくなります。

入れ歯でもある程度、美味しく食事をすることができます。

ですが、抜いたほうがいいと診断された歯を残してしまうと、入れ歯でもご飯を食べることができなくなってしまいます。

確かに、自分の歯を残すことはいいことです。

ですが、歯科医師が、抜いたほうがいいと診断したのであれば、その理由をしっかりと聞いて、早めに歯を抜き、次の治療を受けましょう。

もし、今、この記事を読んで、抜いたほうがいいと診断された歯を残したまま放置している方がいるのであれば、すぐに歯医者さんに行って必要な治療を受けましょう。

それが、入れ歯でもずっと美味しいご飯を食べるためには重要です。

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