歯の「シーラント」とは|歯の溝を埋めて虫歯予防

歯医者さんでやっている予防処置として、とても有名なものといえばフッ素塗布です。

最近、テレビCMでもよくみますし、小さなお子さまがいらっしゃるご家庭では、各自治体にもよりますが、お子さまが一歳半検診や3歳児検診の時に、フッ素塗布をやってもらった経験のある方もいらっしゃると思います。

でも、実は、虫歯予防の方法はそれだけではありません。それに代表されるのが、『シーラント』です。これは、日本語で難しく言うと、『予防的填塞処置』と言います。

生えたての大人の歯は専門用語で、幼若永久歯と言いますが、この幼若永久歯は字の通り、とても幼若です。歯も、人の成長と同じで成熟していきます。幼若永久歯は生えたあと、何年もかけて、唾液の中に含まれるカルシウムイオンを取り込んで、強い結晶構造へと成熟していきます。

また、幼若永久歯は成熟した永久歯よりも歯の溝がたくさんあります。 何年もかけて歯が噛んで使われることによって、歯の溝が少しずつすり減り、歯の溝の形が複雑だったものがシンプルな形へ変化していきます。

ですので、生えたての大人の歯というのは、溝が複雑で、虫歯になりやすいのです。

生えたての大人の歯には深い溝がたくさんある
(生えたての大人の歯には深い溝がたくさんある)

では、どうすれば虫歯を防げるのでしょうか?答えは簡単。 溝をシンプルにすればよいのです。

シンプルとはどういうことかというと、溝を埋めて、汚れが溜まりにくい形に変えてあげるのです。そう、それが『シーラント』です。

例をあげると、最近、トイレのCMで、トイレのフチ汚れがつきにくいものを紹介しているのをよくみます。これは従来はトイレのフチには段差があり、そこに汚れがこびりついてなかなか取れないので、主婦の方々を悪戦苦闘させていました。

でも、最近のトイレはそのフチをなくし、汚れがつきにくい形になっています。つまり、形をシンプルにすることで、汚れがつかないようになったのです。

シーラントも同じです。溝を埋める材料は、コンポジットレジンといって、生体用のプラスチックの素材です。今まで、虫歯になった方で、白いつめものをしたことがある方は同じ材料が使われています。

そこで、一つ疑問がある方がいると思います。「虫歯になってもいない歯を削って詰めるんじゃないの?」その心配はいりません。

このシーラントの素晴らしいところは、歯を削らずに詰められるということです。

生えたての大人の歯の溝は深いので、そのもともとある溝にコンポジットレジンという材料を流し込み、固めるだけです。

シーラントのやり方はとても簡単です。

  1. 汚れがついてると材料がつきにくいので、歯のお掃除。
  2. くっつく薬(味はしません、少し独特の臭いがします)を歯の溝に塗ります。
  3. 空気をかけて乾燥させます。
  4. 材料を歯の溝に流し込みます。
  5. 光を当てて、あっという間に固まり、終了。

全く痛くありません。

シーラントの術式の様子
(シーラントの術式の様子。痛みはまったくない。)

シーラント後の様子
(シーラント後の様子)

今まで、歯医者さんに行ったことないお子さまでも、違和感なくやってもらっています。シーラントはお子様の歯医者さんへ通うハードルを低くしてくれます。

もちろん、私自身、このシーラントの処置をやってもらっていますが、未だに虫歯になっていません。

だから、シーラントは素晴らしい予防処置だと思います。

ただ、シーラントは万能ではありません。

削って詰めるわけではないので、虫歯にするつめものよりも取れやすいです。また、歯の溝の部分にしか出来ない処置なので、歯と歯の間にできる虫歯は防ぐことはできません。

予防処置をして、歯を磨かなくても良いというわけではないのです。予防処置もして、日々の歯磨きもしっかりとやりましょう。

ぜひ、興味のある方はお近くの歯医者さんに「シーラントやりたいのですが」と問い合わせてみてください。

保険がききますし、自治体によっては、お子様の医療費を負担してくれてるので、親の負担なしで、予防処置ができますよ。

あなたのお子さまが虫歯の痛みにずっと無縁でいるために、ぜひ予防をしに歯医者さんへ行ってみてください

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