口の中にある白い塊、歯石は、歯周病を進行させます。歯肉炎や歯周病になっていなくても、歯石がついていると、歯茎に汚れがつきやすいので、ゆっくりと進行していきます。
歯肉炎、歯周病を予防するためにも、口の中に歯石を作らないことがとても大切になってきます。歯石は一度できてしまうと、歯に強固にへばりついて、自分で歯石を取り除くことは、かなり難しいです。
歯石は歯医者さんに行かないと、取り除くことができません。だから、歯石を予防することが、歯周病予防においても、とても重要となります。
では、歯石をつかないように、予防するためにはどうすればいいのでしょうか。
歯石を作らないようにするには、歯石の原因である、歯垢(プラーク)を歯につかないようにすることが大切です。歯石はプラークに唾液や血液などのミネラル成分が沈着することで、結晶化することで、作られます。歯垢はご飯やおやつなど、食べ物を食べると、歯の表面にくっついてできます。
人は物を食べるとき、自分の歯で食べ物を歯で切って、すり潰して食べるので、歯に必ず食べ物がつきます(総入れ歯の人以外)。食物繊維の多い食べ物は歯にべっとり汚れがつくことはそんなにありませんが、チョコレートや、砂糖を含む食べものは砂糖特有の粘りがでるので、歯にべっとりとついてしまいます。ですので、食後の歯磨きで、歯にべっとりとつく歯垢をつかないようにします。
でも、歯ブラシだけでは、歯の溝や歯と歯の間の隙間の歯垢まで落とすのは難しいです。そこで、歯石を予防するために、歯垢を分解する成分やつきにくくする成分の入った歯磨きを使いましょう。歯ブラシと歯磨き粉をうまく選ぶと、より効果的に歯石を予防することができます。
歯垢を分解する酵素として、デキストラナーゼ酵素というのがあります。これは唯一、歯垢を分解する酵素です。この成分が入っている歯磨き粉はしっかりと歯垢を分解させるために、歯ブラシの頭いっぱいに歯磨き粉をつけて、なるべく長く、最低でも5分は磨きましょう。これは酵素が歯垢に働くのには1分や2分では短すぎるからです。
次に、歯石を予防するために、歯の表面に汚れがつきにくくする成分、ピロリン酸ナトリウムを含む歯磨き粉を使いましょう。ピロリン酸ナトリウムは歯の表面をツルツルにする成分なので、タバコのヤニやコーヒーやお茶などのステインも落とせます。
次に、歯周病菌に最も効果が認められている殺菌成分として、塩酸クロルヘキシジンがあります。これは様々な殺菌成分がある中で、唯一、有効であると認められている殺菌成分です。歯石があると、さらに歯垢がつきやすくなって、歯周病菌が大量繁殖するので、こういった殺菌成分が入った歯磨き粉を使いましょう。
歯石を予防するために、以上のような成分が入った歯磨き粉を使うようにしましょう。
ただし、どれだけすごい有効成分が含まれていても、歯磨き粉は正しく使わないと意味がありません。
歯石を予防するためには、歯磨き粉をしっかりとつけて、最低でも、5分、できれば、10分しっかりと磨きましょう。また、なかなか時間がとれないときは歯石は下の前歯の裏、上の奥歯のほっぺた側につきやすいので、その場所をメインに磨きましょう。もちろん、できやすいというだけで、他の場所にも出来るので、歯を一本一本丁寧に磨くように心がけましょう。歯磨きを10分もすると、歯を一本一本みがけています。
歯石は、歯周病にとって、百害あって一利なしです。日々のケアが歯石予防には重要です。それでも、個人個人の体質によって、唾液がよく分泌される人は、歯石がつきやすいです。一生懸命ケアをしていても歯石はできてしまいます。
口の中をのぞいてみて、白い塊を発見したら、歯医者に行ってしっかりと歯石を除去してもらいましょう。歯医者さんでの予防と、日々の歯石予防に効果的な歯磨き粉を使うことで、歯石は予防できます。