お口の中にある白い塊は、歯石である可能性がとても高いので、すぐに歯医者さんに行って除去してもらう必要があります。
では、なぜ歯石はすぐに除去する必要があるのでしょうか。
歯石はもともと歯の汚れであるプラーク(歯垢)が元となってできます。プラークを核として、唾液や血液中のミネラル成分がプラークに沈着し、固くなります。それが歯石です。石のように固くなります。
歯石はそれ自体が実は悪さをするわけではないのですが、歯石の表面はザラザラとしているため、歯と比べて、より汚れがこびりつきやすいのです。すると、歯石にはさらに汚れが蓄積していきます。つまり、歯石を放置し続けると、どんどん大きくなっていきます。
歯石についている汚れプラークには1000億近い数の細菌が住み着いています。その中には、もちろん歯周病の原因である歯周病菌も住んでいます。こういった細菌たちは、歯茎に炎症を起こし続けます。歯茎に炎症がおこっていると、歯と骨をつないでいる膜、歯根膜や、歯を支えている骨を破壊していきます。
まず、歯根膜に炎症がおき、破壊されると歯と骨をつなぐものがなくなり、歯がグラグラしてきます。つづいて、その土台の骨が破壊され始めると、さらに歯がグラグラし、歯の根っこを覆っていた歯茎が下がって、歯が伸びたようになります。
そして最後は歯を支えていた土台がなくなり、歯が抜け落ちてしまいます。歯石を放置し続けると、歯石がどんどん大きくなり、歯茎と歯を支えていた歯根膜、土台である骨を溶かし、最終的には歯がなくなります。
どんなに遅くても、歯がグラグラしてきた時点で歯医者さんに来院されますが、残念ながらその段階でいらっしゃる患者さんは、歯を最終的に失っています。
大抵の場合は、そこまで歯石が巨大化することはありません。しかし、寝たきりのご老人の方にこういった歯石が大きくなってしまったケースをよく目にします。
介護の必要な方の多くはご自身で歯を磨くことができないため、歯に汚れがついたままの状態です。食事は摂取しますから、汚れがどんどん蓄積していきます。その結果、普通ではありえない量の歯石が口の中に形成されてしまっています。
歯石は徐々に作られていくので、ご家族や介護者も介護に忙しいためなかなか気づくことができません。あまりにも歯石が大きすぎて、歯と区別がつかないまで大きくなってしまっているものもあります。
こうなってしまうと、歯石を除去することはとても難しくなってしまいます。しかし、歯石を除去しないと、歯石は細菌の温床ですから、特に介護が必要な方にとっては肺炎の原因にもなります。
このように、歯石を放置し続けると、巨大化し、除去が困難となり、肺炎などの別の病気を起こす引き金となります。
お口の中に白い塊である歯石を見つけたら、できるだけ早く、歯医者さんに行って、歯石を除去してもらいましょう。
そして、歯石ができないように、毎日の歯磨きをしっかりとしましょう。そのときに、歯石を予防する歯磨き粉やデンタルリンス、他にもデンタルフロスなどを一緒に使うとより効果的に歯石を予防でき、歯周病予防へとつながります。
ぜひ、一度、お口の中をチェックしてみてくださいね。