よく、赤ちゃんに口うつしでご飯をあげると、菌がうつるからよくないという話しを聞きますが、これは本当です。
赤ちゃんは生まれてきたときは、口の中に菌はいません。徐々に口の常在菌という菌のバランスが形成されていきます。
親から虫歯菌がうつってしまうと、虫歯のリスクが急激に上がってしまいます。ですので、赤ちゃんへの口うつしはなるべく避けるべきでしょう。
大人同士で、例えば恋人とのキスなどで歯周病はうつるのでしょうか?
当然、キスでも歯周病菌がうつります。もし、彼氏が歯周病だったら、今まで歯周病にかかったことのないあなたに、歯周病のリスクが降り注ぎます。
ですので、恋人はもちろんですが、家族全員が歯周病予防、虫歯予防をしなければ、一人がサボってしまうと、家族の虫歯、歯周病リスクは下がりません。
歯周病予防、虫歯リスクを下げるためには家族全員の協力が必要です。
また、歯ブラシを共有することはやめましょう。歯ブラシから菌を取り除くことは薬液消毒しない限り不可能です。同じ歯ブラシを1ヶ月以上使い続けるのも衛生上よくありません。
歯ブラシの毛が変形してしまうのも歯ブラシを1ヶ月に1回変えなければいけない理由の一つですが、それ以上に菌が繁殖するので歯ブラシは定期的に変えましょう。
歯磨き粉に関しては薬用成分が含まれており、中の歯磨き粉ペーストはつけるときに、歯ブラシと接していないので、菌が繁殖することことはよっぽどの環境でなければ大丈夫です。歯磨き粉は家族共通でも大丈夫です。
ただ、こどもと大人では一般的に子供のほうが虫歯リスクが高く、大人の方が歯周病リスクが高いので、歯磨き粉はそれぞれのリスクで、分けて選んだほうがよいでしょう。
歯ブラシの共有で歯周病がうつる
ここで、菌をお互いにうつしあってしまい、歯を失ってしまったご夫婦の話しをしましょう。
つい最近、歯医者さんが怖くてほとんど歯医者さんにかかったことがない女性が来院されました。お話をきくと、怖くて、歯医者さんを転々とし、今回も、痛いから仕方なく来院されたようです。
歯周病も進行していて、残っている歯も虫歯でボロボロでした。何とか残りの歯を治療し、何回も通院してもらうことで、予防の大切さを理解してもらい、今では定期的に歯の掃除にいらっしゃいます。
その過程で、女性のだんな様も、奥様の歯の改善の様子を見て、紹介されて来院しました。だんな様もビックリするくらい歯周病が進行しており、治療について説明しました。
歯を抜く必要があるものを抜歯、残りの虫歯になっている歯も治療しました。そして今では、奥様と一緒に定期的にお掃除しに来院されます。
驚くことに、夫婦で同じような歯周病の進行具合でした。歯ブラシを共有されておりましたが、その結果、歯周病菌まで共有されていました。
また、お二人にブラッシング指導をしたところ、二人とも、同じところが磨けていませんでした。できていないところを指導し、今では、きれいに磨けるようになりました。
おわりに
歯周病は生活習慣病です。菌がうつることも原因ですが、歯磨きの習慣も『うつる』のだと感じました。
きちんと歯医者さんで歯磨き指導を受けてもらうことの重要性をこの患者さんを通じて、私は勉強させていただきました。
ご家庭での歯磨き環境は家族みんなが同じです。たいていは家族全員がお口がきれいならきれいですし、お口が汚いと家族全員が汚いです。
ですので、小さいお子様がいる方はもちろん、大切なご家族がいらっしゃる方みなさん、大切なご家族のために、一生懸命歯を磨きましょう。
子は親の鏡といいます。歯磨き習慣と菌の環境をしっかりと子どもにうつしていきましょう